いじめ防止基本方針

2020年7月30日

穂坂小学校いじめ防止基本方針

1    いじめ問題に関する基本的な考え方

 いじめは,決して許される行為ではない。しかし,いじめはどの児童にも,どの学校にも起こりうるものであり,どの児童も被害者にも加害者にもなり得る。このことを踏まえ,学校,家庭,地域等が一体になって,未然防止・早期発見・事案対処に取り組むことが重要である。

 いじめ防止対策推進法第13条の規定及び国のいじめ防止等のための基本的な方針に基づき,いじめを防止し,すべての児童が明るく,楽しい学校生活を送ることをめざし,「穂坂小学校いじめ防止基本方針」を策定する。

 ◆本校の「いじめ防止等に関する基本的な姿勢」

学校,学級内にいじめを許さない,いじめをしない心を育てる。児童,教職員の人権意識を高める。校内に子ども同士,子どもと教職員の温かな人間関係を築く。いじめの未然防止や早期発見,いじめ発生時の迅速な対応を組織的に行う。いじめの問題について,保護者・地域・関係機関等との連携を深める。
いじめの定義
「いじめ」とは,児童に対して,当該児童が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人間関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって,当該児童の対象となった児童が心身の苦痛を感じているものをいう。 〔いじめ防止対策推進法 第2条〕
いじめを認知する際の方針
個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は,表面的・形式的に行うことなく,いじめられた児童の立場に立って行う。けんかやふざけあいであっても,見えないところで被害が発生している場合もあるため,背景にある事情の調査を行い,児童の感じる被害性に着目して判断する。

2    いじめ対策の組織

いじめ問題への組織的な取組推進のために,「いじめ防止対策委員会」を設置する。

①構成員

校長,教頭,教務主任,生徒指導主事,養護教諭,その他校長が必要と認める者
※「その他校長が必要と認める者」とは,教職員,PTA会長,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー等のことをいう。

②内容

  • 本基本方針に基づく取組の実施,具体的な年間計画の作成・実行・検証・修正を行う。
  • 本基本方針の年間計画に基づき,いじめの防止等に係る校内研修を企画し,計画的に実施する。
  • いじめの未然防止の取組に関することや,相談内容の把握,児童や保護者へのいじめ防止の啓発等に関することを行う。
  • いじめの早期発見のため,いじめの相談・通報を受ける窓口(教頭・養護教諭・生徒指導主事)となる。
  • いじめに係る情報(いじめが疑われる情報や児童感の人間関係に関する悩みを含む)があった場合には,緊急会議を開催するなどして,情報の迅速な共有,及び関係児童に対するアンケート調査,聞き取り調査等により事実関係の把握といじめであるか否かの判断を行う。
  • いじめの被害児童に対する支援・加害児童に対する指導の体制・対応方針の決定と保護者との連携等の対応を行う。
  • 重大事態発生時の調査機関としての役割を果たす。

3    いじめの未然防止の取組

(1) 学級を中心にした取組

  • 児童一人一人が認められ,お互いを大切にし合い,学級の一員として自覚できるような学級づくりに努めるとともに,児童同士,児童と教職員の信頼関係を深める。
  • 学級や学校のルールを守るといった規範意識を醸成する。
  • いじめの背景に勉強や人間関係等のストレスが要因の一つとなり得ることを踏まえ,児童一人一人を大切にした分かる授業を行い,児童に基礎・基本の定着を図るとともに,学習に対する達成感・成就感を味わわせる。
  • 道徳科の時間や学級活動での指導を通して,思いやりの心や児童一人一人がかけがえのない存在であるといった命を大切にする心をはぐくむ。特に道徳科においては,児童がいじめの問題を自分のこととして捉え,考え,議論することにより,いじめに正面から向き合うことができるようにする。
  • 児童が「いじめは決して許されない」という認識を持つよう,さまざまな活動の中で指導する。
  • いじめを見てみないふりをすることは「いじめ」をしていることにつながることや,「いじめ」を見たら教職員や友だちに知らせたり,やめさせたりすることの大切さを指導する。
  • 児童一人一人の変化に気づく,鋭敏な感覚を持つように努める。
  • 児童や保護者からの話を親身になって聞く姿勢をもつ。
  • 問題を抱え込まないで,管理職への報告や同僚への協力を求める意識をもつ。

(2) 学校全体の取組

  • 全教育活動を通して,「いじめは絶対に許されない」という土壌をつくる。
  • いじめに関するアンケートを年3回実施し,その結果と児童の様子の変化などについて,教職員全体で共有する。
  • いじめに関する校内研修を行い,いじめについて教職員の理解と実践力を高める。
  • 校長がいじめに関する講話を全校集会で行い,学校として「いじめは絶対に許されない」ということ,いじめに気づいた時は,すぐに担任をはじめ,周りの大人に知らせることの大切さを児童に伝える。
  • いじめ問題に関する児童会としての取組を推進する。
  • インターネットを通じたいじめを防止するため,高学年児童等を対象にしたネットいじめに関する情報モラルを学ぶ機会を設ける。
  • 児童がいつでも相談できる体制の充実を図る。
  • 発達障害を含む障害のある児童,海外から帰国した児童や外国人の児童など外国につながる児童,性同一性障害や性的指向・性自認にかかる係る児童等,特に配慮が必要な児童については,日常的に,当該児童の特性を踏まえた適切な支援を行うとともに,保護者との連携,周囲の児童に対する必要な指導を組織的に行う。

(3) 保護者・地域に対して

  • 児童が発する変化のサインに気づいたら,学校に相談するよう依頼する。
  • いじめ問題の解決には,学校・家庭・地域の連携を深めることが大切であることを,学校だより,PTA総会,学年PTA,学校評議員会等で伝え,理解と協力を得る。

4    早期発見の取組

(1) 変化に気づく教師

  • 年3回のいじめに関するアンケート調査,年2回のハイパーQUアンケート調査を実施し,児童の人間関係や学校生活等の悩みなどの把握に努める。
  • 担任等による個人面談を随時行う。
  • 児童の様子を担任はじめ多くの教職員で見守り,気づいたことを職員会議等で情報共有する。
  • スクールカウンセラーとの情報交換を随時行う。

(2) 相談できる環境づくり

  • 担任以外の者として,教頭,生徒指導主事,養護教諭が常に相談の窓口となることを児童に伝えるとともに,いじめに限らず,困ったことや悩んでいることがあれば,誰にでも相談できることや相談することの大切さを児童に伝えていく。
  • 児童が勇気をもって自らSOSを発信することの大切さを伝えていくとともに,児童からの相談があった場合には,直ちに管理職に報告するとともに,組織として迅速に対応する。

5    いじめへの対処

(1) いじめの発見・相談を受けたときの対応

  • いじめを発見した・通報を受けた教職員は,「聞き取りシート」に沿って聞き取りをするとともに,これを一人で抱え込まず,他の業務に優先して,かつ,即日,管理職に報告し「いじめ防止対策委員会」で直ちに情報を共有する(教職員がいじめの情報を学校内で共有しないことは,いじめ防止対策推進法の規定に違反し得る。)。
  • 事実関係の把握,いじめであるか否かの判断は組織的に行うことが不可欠であり,教職員はささいな兆候や懸念,児童からの訴えを抱え込まずに,又は対応不要であると個人で判断せずに必ず管理職に報告する。
  • 「いじめ防止対策委員会」は,いじめられた児童,いじめた児童への具体的な支援や指導について,教職員一人一人の役割分担を明確にして対応するとともに,保護者に対して適切に情報提供を行い,連携して対応する。
  • インターネット上の不適切な書き込みや画像等は,被害の拡大をさけるため,必要に応じて法務局及び警察署と連携して,直ちに削除するよう要請する。

(2) いじめられた児童、保護者への支援

  • いじめられた児童を徹底して守りぬくために必要な措置を講じるとともに,この方針を当該児童及び保護者に伝える。
  • 当該児童や保護者に必要な情報を伝えるとともに,気持ちに寄り添いながら要望や相談には適切に対応する。
  • 必要に応じて,スクールカウンセラー等,専門家による継続的な心のケアを行う。

(3) いじめた児童への指導と保護者への対応

  • いじめをした児童から事実関係の聞き取りを行い,いじめが確認された場合には複数の職員による対応により,直ちにいじめをやめさせ,その再発を防止するための対応をとる。
  • 複数の教職員と保護者による話し合いの場を設け,保護者の理解を得た上で,学校と保護者が連携して対応するよう協力を求める。
  • いじめられた児童を守ることを目的に,必要に応じて,いじめをした児童に別教室等で学習させる。
  • いじめをした児童が抱える問題,いじめの背景にも目を向け,いじめをした児童の健全な人格の形成に努める。

(4) 教育委員会、警察等の関係機関との連携

  • 解決が困難ないじめを把握した場合には,速やかに教育委員会に報告し,問題の解決に向けて指導助言を受けて対応する。
  • 解決が困難な事案については,必要に応じて教育委員の指導の下,警察や福祉関係者等の関係機関等の専門家を交えて対策を協議し,早期の解決を目指す。

(5) いじめの解消状態

 いじめの解消状態とは,次の2つの要件が満たされているものとする。ただし,いじめが「解消している」状態であっても,再発する可能性が十分にあり得ることを踏まえ,教職員は当該いじめの被害児童及び加害児童については,日常的に注意深く観察する。

  • いじめに係る行為が少なくとも3か月止んでいること。ただし,いじめの被害の重大性等からさらに長期の機関が必要である場合には,より長期の期間を設定する。
  • いじめを受けた児童が,心身の苦痛を感じていないこと。この場合,いじめを受けた児童及びその保護者に対し,心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認する。

6    重大事態への対処

(1) 重大事態の定義

本基本方針及び「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(平成29年3月文部科学 省)」により適切に対応する。

① いじめにより児童の生命,身体又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき
  ・児童が自殺を企図した場合
  ・身体に重大な障害を負った場合
  ・金品等に重大な被害を被った場合
  ・精神性の疾患を発症した場合 など

② いじめにより児童が相当の期間(年間 30 日を目安とする),学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき
③ そのた,校長や教育委員会が認める場合

⑵ 重大事態への対応

  • 重大事態が発生した場合,速やかに教育委員会へ事態発生について報告する。
  • いじめ防止対策委員会を中心に,教育委員会と連携し,次の事項に留意して初期調査を行う。
  • 重大事態に至る要因となったいじめ行為が,いつ(いつ頃から),誰から行われ,どのような態様であったか,いじめを生んだ背景事情や児童の人間関係にどのような問題があったか,学校・教職員がどのように対応したかなどの事実関係を,可能な限り網羅的に調査し,明確にする。必要に応じては専門家などの第三者を加える。
  • 在籍児童や教職員に対する質問紙調査や聴き取り調査の実施に当たっては,いじめを受けた児童や情報を提供した児童を守ることを最優先として調査を行う。
  • 質問紙調査の実施により得られた結果については,いじめを受けた児童又はその保護者に提供する場合があることを,あらかじめ調査対象となる児童やその保護者に説明する等の措置をとる。
  • 因果関係の特定を急がず,客観的な事実関係を速やかに調査する。
  • 民事・刑事上の責任追及やその他の争訟等への対応を直接の目的とするものではなく, 当該事態への対処や同種の事態の発生防止を図るものであるとの認識の下,調査に当たる。
  • いじめを受けた児童からの聴き取りが可能な場合
    • いじめを受けた児童からの聴き取りにおいては,事情や心情を十分に聴き取る。
    • いじめた児童に対して適切な指導を行い,いじめ行為を速やかに止めさせる。
    • いじめを受けた児童の状況にあわせた継続的な心のケアに努め,落ち着いた学校生活復帰の支援や学習支援等を行う。
  • いじめを受けた児童からの聴き取りが不可能な場合(いじめを受けた児童の入院などの場合)
    • 当該児童の保護者の要望や意見を十分に聴取し,迅速に当該保護者と調査について協議してから着手する。
  • いじめを受けた児童及びその保護者に対して,調査の結果を適時・適切に情報提供する。
  • 調査結果を教育委員会に報告し,調査結果を踏まえた必要な措置をとる。

7    その他の留意事項

(1) 校内研修

「いじめ防止年間計画」に基づき,いじめを始めとする生徒指導上の諸問題等に関する校内研修を行う。

(2) 校務の効率化

 教職員が児童と向き合い,いじめの防止等に適切に取り組んでいけるよう,業務改善に取り組む。

(3) いじめ防止年間計画

いじめ防止対策委員会が中核となって行う会議の開催時期,校内研修等の開催時期,その他のいじめ防止等に関する取組の年間計画を作成する。

(4) 取組の評価

 この方針基づく取組の実施状況を学校評価の評価項目に位置づけ,取組の改善に取り組む。

平成26年2月策定

令和2年7月改定

Posted by hosaka-es@nirasaki